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| No.535 投稿者/きたば | 2004/03/28 |
桃の缶詰 … 昭和30年代
| 友人に聞いた話で勘弁して下さい。
友人Yさん(ピチピチの28歳)が小学校低学年の頃の話です。
夏休みにおばあちゃんちに遊びに行きました。
するとおばあちゃんは「人手ができた」と言い、物置の大掃除を手伝わされたそうです。
そして物置から缶詰が。
掃除を手伝ったご褒美としてその缶詰を食べてもいい、というのでYさんは大喜びでその缶詰を開けました。
多少の(どころじゃない)錆を「気にしない気にしない」と言い聞かせながら。
缶詰は3つあり、全部モモの缶詰でした。
ところが1つ目は何も入っていないのです。
あれー?と思いながら底を見ると小さくて真っ黒な、シワシワの物体が見えます。
もしやこれが桃・・・?
2つ目。
やっぱり同じような状態です。
3つ目。
3度目の正直とはこの事。
カサカサしたゼリーのような物体が出てきました。
そこで一口かじったのですが、「味がしなかった」そうです。
そこへ父がすごい形相でやってきて「その缶詰、よこせ!」と取り上げ、底を錆取りでこすり出しました。
製造年月日を調べたようです。
そしておもむろに「これ俺が子供の頃のだ」というではありませんか!
高度成長期、桃の缶詰がご馳走だったあの時代・・・少年だった父は物置に桃の缶詰を隠していた事を思い出したというのです。
昭和30年代です。
缶詰に封じられた液体がどこへとなく消え去るほどの長い時間・・・。
Yさんはその後食べたものを吐き出そうと背中をさすられたり、てんやわんやの大騒ぎになりましたが、何ともなかった模様です。
ところで今、私の家には21年前のアスパラガスの缶詰があります。
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