一人暮らしをしていた25歳の頃。そう…季節は夏だった。
珍しく部屋の大掃除に汗を流していた私は、昼食は近くのコンビニで卵サンドイッチを買った。
別に異臭も酸っぱい味もする訳でもなく、極々普通にサンドイッチを平らげた。
数時間後、体に異変が起きた。
今まで経験した事のない腹痛、流れる脂汗、嘔吐を繰り返しトイレへ直行。
薬箱からありったけの胃腸薬を飲んだが、激痛は治まらない。
救急車を呼ぼうと思ったが、体がしびれて動けない。
俺、ここで死ぬのかな…部屋は掃除で綺麗になっているからいいけど、一人だから腐乱で見つかってしまうなと思い、そのまま意識不明に。
ふと目を覚ます。激痛は嘘の様に治まっている。
部屋は真っ暗。どうやら夜の様で時計を見ると10時を指していた。
意識を失ったのは土曜だったので、土曜の夜かなと思ってテレビを
つけると月曜の番組をやっていた!
そう、2日間気を失っていたのだ。留守電には会社の同僚から「仕事はどうした?」のメッセージが残されていた。
その後、コンビニは流行っていたにも関わらず店を畳んだ。
保健所からの手入れがあった訳でもなく、私の様に食中毒騒ぎも
聞かない。
あれから10年…コンビニのあった店舗はテナント募集の看板が未だかかっている。国道沿いに面し駅にも近いという一等地の立地条件を誇りながら…。