肉まん … 一ヶ月もの

肉まんの３個入りパック、残り１つが消化されずに冷蔵庫に残ったまま一ヶ月がたとうとしていた。
悪魔の一日は唐突に訪れた。
すがすがしい一日の始まりはまず腹ごしらえだと、おもむろに冷蔵庫を開けてみると片隅にポツンと鎮座した肉まんが私に何かを訴えかける。
”私を食べてくれ”そう感じた。
電子レンジでチンして、熱いまま頬張っていたので味わう余裕のないまま、最後の一口。

何かおかしい・・・
体中に違和感が駆け巡る。
それは唐突にやってきた。
腹の底から湧き上がるような激しい嘔吐感。
慌てて洗い場に行き、いざ構えるも、出るのは涙や鼻水、よだればかりで苦しみのあまりのたうちまわる。
僕は、カッと目を見開き、指を喉につっこみ嘔吐感を更にうながした。
直後、喉の奥から土石流と見紛うような勢いで異物が流れ出した。

あの時肉まんは訴えた。
”僕は腐っている、食べないで！”
今だったら、疑いもなくそう思える。