もうひとつの
激痛物語
第18話


◎エピソード2

次のエピソードは、大部屋に移ってからのことです。
当時28才の鉄工所勤めの方でした。
新婚1年そこそこのある日、
仕事中にクレーンから鉄板が落下、
運悪く下で作業をしていた当人の腰に落ちたそうです。
完全な下半身不随になってしまいました。
新妻は生まれたばかりの乳飲み子を連れて毎日看病に来ていましたが
1ケ月程過ぎた頃、乳飲み子を置いたまま2度と姿を現しませんでした。
逆に、入院した子供に付き添っていた母親と入院患者がいい仲になって
夫との間にトラブルになった等の事例もありました。
私の場合は、チョッキ型を着てから殆どは軽い歩行訓練になります。
軽く外回りも出来るようになった頃。
誘う人がいて近所の食堂に夜陰にまぎれて
ビールを飲みに病院を抜け出しました。
勿論、馬鹿飲みは出来ませんからコップ1杯で病院に戻りました。
さあ、それからが大変です。
例のギブスの15cmの穴が約5cm程
もっこりと膨らんで、その時の苦しいのなんの、
暫くの間どうする事も出来ずうなり続けていました。

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