激痛ヘルニア物語
第162話
戻された血液
(不気味度レベルB)
以前自己血のお話をしましたが、私の手術では、出血量が少なく
あらかじめ自己血で用意しておいた血液は、手術中には使われませんでした。
では、
その血液の行方はどこにいったのでしょう?
話は術後に戻ります。
術後、先生より、手術の結果などを聞かされます。
その時に、出血が少なかった為、輸血は行われなかった事を聞かされました。
折角苦労してまで、蓄えた自分の血を使わなかったんだと
そう思っていました。
そして
看護婦が、なにやら濁った点滴を持ってきたのです。
普通は、透明の点滴なのに・・・
「はっし〜さん、これからはっし〜さんの血を戻しますね」
えっ?
先生から、輸血は必要無かったって聞いてますよ。
なんで?
「もったいないからですよ」
と。
点滴をしようとする看護婦に。
あの〜、特に必要がなければ、いらないんですけど。
「はっし〜さん、もったいないから、点滴しますね」
私の、意見は却下されました・・・・
自己血で蓄えた血は、自分以外に使うことが出来ない為でした。
そして、術後に輸血が行われたのです。
以前取り溜めた、血をまた、自分の体に戻していきます。
ポタポタ
と
いつもと違う色の、液体が体の中に入っていきます。
はっきり言って、不気味でした。
血とは言っても、真っ赤な色ではありません。
黒ずんだ赤色です。
血が必要と思っていない所に、血を入れられる。
なんだか妙な感覚。
血を抜く経験は何度もしていましたが、血を入れられるのは
今回が初めてだったからです。
早く終わんないかな〜と思い、我慢をしていました。
そして、点滴が終わりそうな時、看護婦がやって来ました。
「はっし〜さん、もう1本あるから」
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