ドンタコス通信
ドンタコス通信


はーい、みなさまご機嫌いかがかな。
今日も楽しいドンタコス通信の時間だよ。
今回はちょっと長いので、心してかかってくれ。


ジョギング
日曜日に風呂に入ってボケーっと平和な時間を過ごしているとなぜか、突然
身体を動かしたくなってきた。
これは、いつものアレだ!!
N村はなぜか、突発的に運動をしたくなる事があるのです。
思い立ったら、なんとやらで早速風呂をあがって、ジョギングに出かけまし
た。
しかし、時間が夜の11時。ちょっとためらいましたが、勢いづいたN村の
行動を止めるにはいたりませんでした。
最近めっきり、インドアの生活に染まっていたので、思った通り、すぐに息
が切れるのですが、なぜだが肉体疲労が心地よく感じられます。
どうやら、普段の仕事でジワジワと蓄積される疲労とは別の運動による過激
な疲労を身体が望んでいたようです。
おかげで、走り終わったら気分爽快、生まれ変わったかのようです。


室温
先週に引き続き、日曜日は室温が35度をキープしている。
しかもだよ、先週は湿度が45%ぐらいだったのに、今週は60%だよ。
60%ならまだいい方で、一時は70%だった時まで上昇していやがった。
まったく、俺の部屋はいったいどうなってんだ。
そんだけ湿度が高いと、汗をかいても乾かずにいつまでも、へばりついてい
るから気持ち悪い事この上ない。
しゃあないから、ふてくされて眠っても、暑くて寝れやしない。
俺の部屋の夏はいったい何時終わるんだ!!


仮装
知人の結婚式の2次会のお誘いがきたのだが、なぜかそこには「仮装大歓迎
」と書いてあった。
これは、私に制作中のゴキブリ着ぐるみ「ゴキスーツ1号」を着て来い!!
と言っているのであろうか?
しかし、着ていきたいのはやまやまなのだが、着ぐるみの完成予定時期は今
のところ10月末。結婚式は10月始め、予定よりかなり早く完成させにゃ
いかんな。
無事に完成したとして、やっぱり着ていくからには、家から着ていくのが礼
儀だろうな。
近所の人たちの、好奇と冷たい視線を誇らしげに受けつつ、駅へと向かうN
村。子供たちに手を振って笑顔で応えるのだが、母親が「ダメ、見ちゃいけ
ません!」と子供の視界からN村の隠している。
駅に到着して、自動改札を通ろうとしたら、突然警報が鳴り出した。
小田急電鉄が誇る対テロリスト排除装置が作動したのだ!!
どこにこんだけの駅員が居たのか疑問に思うぐらいの駅員がN村めがけてぞ
くぞくと集まってきた。
「いたぞー!あそこだー!」
怒号の飛び交う中、身の危険を察知したN村は、自動改札を飛び越えてホー
ムへ階段を駆け下りた。
幸い登り電車が入ってきたばかりだったので、走って先頭車両まで向かうと、
現状を理解していない運転手を引きずり降ろし、即座に電車を発車させた。
こんなこともあろうかと、トレインシュミレータで練習した甲斐があったと
いうもんだ。
電車は小田急相模原駅を出発して、快調に次の相模大野駅と進んでいた。
おっ、もうすぐ相模大野だな、やっぱりマニアとしてはスムーズに停車させ
なきゃな。電車の速度、停止位置を頭の中で計算しながら、慎重に停車させ
ていった。
電車はこれ以上ないというぐらいに、完璧な停車で相模大野に到着した。
ふうっ、と自己陶酔に浸って一息ついたN村はホームに黒山の人だかりがで
きているのに、気がついた。
なんだろうとホームの方に向き直るとそこには、大量の駅員がひしめいてい
たのだった。
しまった!ご丁寧に相模大野で止まっている場合じゃなかった。なんで、新
宿まで一気に行かなかったんだ。俺のバカ!
急いで発車させようとしたのだが、そこは電車、加速性能が悪いので、運転
席のドアを開けられてしまった。ここぞとばかりに、開いたドアに向かって
駅員がなだれ込んでくる。
狭い運転席に入られたら、掴ってしまうのは目に見えている。ここは必殺技
を使って逃げるしかない!!
「くらえっ!ゴキ吹雪〜!!」
N村は右手でマント状になっている、ゴキスーツ1号の羽をばさっと翻した。
すると羽の裏から無数のゴキブリが飛び出していった。
ゴキブリ達は一斉に駅員達に飛んでいった。
駅員達には、視界が黒いもので覆われたのは分かったのだが、それが飛んで
くるゴキブリだとは気がつかなかった。何かブウウゥゥゥーーンという音が
聞こえて、何かが顔や身体に当たっていた。同僚の身体中を這いずり回って
いる黒い物体を見た時、自分の身体がどうなっているか初めて理解した。
「うぎゃー」「ゴキブリだー!!」「助けてくれー!」あちこちで悲鳴があ
がり、駅員は自分の顔や手、はたまた背中をモゾモゾと這いまわる6本足の
感触に恐怖した。
恐怖はパニックを引き起こし、駅員達はクモの子をちらすように列車から離
れていった。N村は黒い恐怖に覆われた相模大野を悠々と出発した。
快適に小田急電鉄の旅を楽しんでいるN村は、運転席に車内放送用のマイク
があるのを発見した。車掌室にしかないと思っていたのだが、よく考えてた
ら電車はどっちも先頭になるのだからあって当然なわけだ。
N村の顔は新しいオモチャをもらった子供のようにキラキラ輝いていた。
「では調子にのって一曲歌わせていただきます。某F原氏作詞「ゴキブリの
歌」です。」
♪おひさしぶりだねゴキブリ〜
小田急線の車内にゴキブリの歌がエンドレスで流れつづけた。
車内にはさっぱり状況が掴めていない乗客が多数乗っており、停車駅でも通
過する電車に不安が募っていた。そこに、追い討ちをかけるように、N村の
歌うゴキブリの歌が流れ出したのだ。過度のストレスにさらされて、気分の
悪くなる乗客がほとんどだったが、そんな事はさっぱり知らないまま、自分
の世界に浸って熱唱し続けるN村であった。
その頃、結婚式の2次会会場では、
「さっき京王線の新宿で放送があったんだけど、小田急線で電車ジャックが
あって小田急線全線不通だって。」
「そうそう、俺も聞いた。しかも犯人は新宿に向かっているらしくて、小田
急の方は警察でいっぱいだった。」
「N村は小田急だから、ひょっとしたら来れないかもな。」
「えっー、N村のゴキブリの仮装楽しみにしていたのに。」
その本人がゴキブリの仮装して、電車ジャックをしているとは、これっぽっ
ちも疑っていない面々であった。
N村は新宿に着いた時、どう切りぬけるか考えていた。
新宿駅とその手前は完全に固められているだろうし、代々木上原から地下鉄
というルートもあるが、こっちも塞がれているだろう。
そうこう考えているうちに、電車は無常にも新宿に到着しようとしていた。
高架を降りると、予想通り線路の両脇をガッチリと固められていた。すでに、
ゴキブリ一匹這い出る隙間すらなさそうだ。こりゃ新宿駅はもっとスゴイ事
になっているんだろうな。
ここまで来たからはと半ばヤケクソで新宿へと向かうN村であった。
しかし、新宿に着くと予想とは裏腹に人っ子一人居なかったのである。乗客
も、不気味なまでに静まりかえった新宿駅が恐くて誰一人列車から出ようと
はしない。
どう見たってワナに違いないが、行くしかあるまい。N村は運転室を出て、
改札へと向かった。N村が改札前まで、あと10歩程度のところで正面から
ドラム缶を2まわりほど大きくした巨大な物体が現れた。
「待て!!これ以上貴様の好き勝手にはさせんぞ!小田急電鉄特殊工作員が
相手だ。」
ドラム缶もどきは威勢良く啖呵をきってきた。
「お前ら如き、青二才にゴキスーツ1号を身にまとったN村の相手が務まる
と思っているのか。」
よく分からんがN村も切り返した。
「我が実力、甘く見たのが運の尽き、くらいやがれ!ゴキジ○ッーート!!」
咄嗟に何か来ると思ったN村は右へ横っ飛びした。N村がさっきまで立って
いた場所にはブシューという音と共に霧状の物がまかれていた。
どうやら、相手は身の丈ほどもある殺虫剤のようだな。
「チッ、かわしたか、ゴキブリだけあってなかなか素早い動きだな。」
殺虫剤は続けざまにスプレー攻撃をしかけてくるが、N村はそれを軽快な動
きでかわしつづけた。
しかし、N村の方にも相手を攻撃する術がないのであった。さすがに「ゴキ
吹雪」は殺虫剤の前ではイチコロだろうし、かといって他に技なんか用意し
ていないぞ。
「ええ〜い、ちょこまかと逃げ回りおって、こうなったら奥の手だ。」
殺虫剤野郎はスプレー噴射口の前に火種を持ってきて、火炎放射器へと変身
した。ゴオォォォーーと、いかにもくらったら黒コゲになりそうな音を立て
て炎がN村の周りを舐めまわす。
こうなりゃ、こっちも玉砕覚悟だ、ありったけの「ゴキ吹雪」を目くらまし
に使って肉弾戦に持ちこんでやる。
「行くぞ、殺虫剤野郎め!ゴキ吹雪、全弾発射ーー!!」
N村は殺虫剤の周りを走り回りながら、ゴキ吹雪を連続発射した。
何割かのゴキブリは飛んだまま炎に焼かれて、火の玉となって殺虫剤へと飛
んでいった。N村は殺虫剤が飛んでくるゴキブリに気をとられたのを見逃さ
なかった。
素早く背後に回ると、殺虫剤に向かって一気に加速して、後頭部?へと飛び
蹴りをくらわせた。後ろから不意をつかれた殺虫剤は、ガラン、ゴロンと派
手な音を立てて転がっていった。
5mほど転がって、ようやく止まった殺虫剤は起きあがろうした・・・が、
殺虫剤というデザインの都合上、自力では起きあがれないようだった。
むっとか、おりゃとか掛け声は出すものの、その場でゴロンと回転するだけ
だった。しかも、ゴロゴロと転がったせいか、胴体にキズができて、そこか
らプシューと気の抜けた音をさせながら白いガスが抜け出していた。
う〜ん、バカバカしい、ほっといて行くか。
「えっ、あのちょっと待って、こんな終わり方無いと思わない?ねぇ、考え
直してよ、後生だから。」
殺虫剤が懇願しているが、N村は聞こえないフリをして改札を抜けていった。
さて、これでようやく結婚式の2次会に参加できるぜ。
出口へと向かうN村の足元に白い煙が、ゆっくりと充満していった。どうや
ら、殺虫剤野郎の抜けたガスらしい。吸いこむとマズそうなので、駆け足で
出口へ急いだが、ガスのまわりは想像以上に早く、あっと言う間にガスに包
まれてしまった。
咳きこみながら、どうにか出口へと辿り着くと、そこはガスから逃げようと
右往左往する人でいっぱいだった。混乱した人の流れに乗じて、2次会の会
場へと足を運んだ。
紆余曲折を経てようやく、会場に到着したN村。さあ、みんなにこの姿を見
せてビックリさせてやろう。意気込んだN村を数人の店員が取り囲んだ、そ
の中の一人が
「すいませんねぇ、ゴキブリは入店できないんですよ。」
と言ってきた。
「えっ、いやあの、私はゴキブリじゃなくて、これは着ぐるみなんです。」
必死に弁解するN村。
「何の着ぐるみかな。」
「ゴキブリ・・・・」
「やっぱり、ゴキブリじゃないですか。お前ら、摘み出せ!」
殺虫剤のガスにまかれたN村にもはや抵抗する力は残されておらず、ボコボ
コにされて路地裏へと捨てられたのでした。
再び、2次会会場。
「やっぱり、N村来れないみたいだな。」


というわけで、今回のドンタコス通信もおしまい。
久々にお話を書いてみたけど、どうだったかな。何も考えずに書いているか
ら、最後に話をまとまるのに一苦労しちゃいました。実際、アレを着て電車
に乗ったら止められる気がします。
では、次回をお楽しみに〜。





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