激痛人生劇場


○ピッキング9 繰り返された質問

やって来た刑事は、足跡を採取する為、透明のシートを取り出した。
その透明のシートを足跡に重ね合わせ、数カ所の足跡を採取していった。
そして取り終えると、質問がきた。
「盗まれたものは、ありますか?」
さっき来た警察官も同じ質問をされたのだが、はっきり言って覚えていない。
思い出したのは、友人から指摘のあった、ビデオカメラだけである。
朝部屋を出たときの状況すら、どうなっていたのかすら覚えていない。
あそこの棚は、自分で散らかした後なのか?
それとも、ピッキング犯に散らかされたのか、分からない場所がある。
人間の記憶は結構、曖昧だと思う。
ほんとに、どっちだっけ?
と、マジで悩んだ。
考えて、思い出しても、分からない。
これ以上、考えても、今は無駄だと思い、刑事には、
やはり、何を盗まれたのか、ビデオカメラ以外思い出せません。
と答えた。
「何か思い出したら、交番に届けて下さい」
と、刑事に言われた。

そして、刑事は、よくTVで見る、指紋の採取をし出した。


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