激痛病棟
(体験談)

ほみの激痛物語 第18話
○悪趣味(受傷後4日目)

ズキ、ズキ、ズキ、ズキ

ドク、ドク、ドク、ドク……




「痛てぇって言ってるだろぉぉぉぉ」


そろそろ、この痛さに慣れて…って


慣れっこないわぁ!!


「ママぁ、お腹すいた〜」
あせって時計を見ると…「ゲッ、8時じゃん」

泣こうがわめこうが家事は待ってくれない。
慣れぬ歩き方で痛みは最高潮。
こんなジリジリ襲い掛かる痛みは久しぶり。

そう。あのヘルニア以来。

切り傷のような瞬間風速の痛みとは違い
神経をノンビリ逆なでするような痛みって言えばわかるかな?
とにかくジックリ、のんびり、ひたひたとやって来る。

早く終わらないかな…この痛み。
痛みの終わりが見えないとすごく不安になるのが
ヘルニア体験者。

そんな痛みが続くと
「もう一生終わらないのでは…」とか
頭の中で考える。

普通こういう痛みのある時は病院も痛み止めを処方するし
普通の人はすんなりもらってくるハズだ。

しかし、普通じゃないあたしは
「我慢しますからいりません」と突っぱねた。
なので、痛くても仕方ないって負い目もある。

ズンズンズンズン……
痛みはあたしの気持ちとは反比例しやって来る。

今のあたしの頭の中は
「痛い」と「食料」の2つだけだ。
動けないので買い物に行けない。
旦那は会社。子供はアテにならない。

「もう、我慢ならねぇ……我慢しない。しないったらしない」
我慢という最後の防波堤が決壊すると
ガタガタと音をたてて、崩れた。

それでもご飯は作らなくちゃ…と
立ち上がるが、足首から先が痛くて痛くて。
体を支える重心をかけるところが無くて、流しに寄りかかって作る。

たまに見つめると、足の色がドンドンどす黒くなっていくのが見えた。

それを見ただけで食欲はなくなった。

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