もうひとつの
激痛物語
第26話


◎阿修羅

痛て゛ーー
痛ででーーー
痛でででーーーー

その時の雄叫びと
その時の面構えは
私を跨いでいた看護婦を睨みつけたその形相は
まるで阿修羅のごとく。
その看護婦に悪気は無かったのに、
そのことが元で、その看護婦には後々辛く当たられました。
その病棟では一番の美人で、マドンナだったのですが。
こちらの方も激痛でした。
七転八倒の末、取られた対策はコルセットで固定することでした。
体を動かさないことで何とか痛みを抑えようとしたのですが、
少しは収まったものの、左への寝返りは出来ず、
右を下にしたままベットに横たわっていました。
15日は、このままの状態で唸っていましたが、
16日は、我慢が出来ず、土曜日の日直の先生に
病室診察をしてもらいましたが、術後の痛みの経過もあり、
もう少し様子を見る事になってしまいました。
17日の日曜日、またしても我慢が出来ず、
看護婦に哀願しましたが、この日の日直の先生は、
往診してくれず、18日の月曜日担当医の診察を受けることの指示のみでした。
やむなく、終日、痛い、痛いと唸っていました。


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