あれは中学の頃。母がどこからか、房の付いたままのトウモロコシを貰ってきた。採れたばかりというそれを、すぐさま塩茹でし、家族で食した。
3分の1ほど食べた頃、私の歯に、トウモロコシとは微妙に違う「プチッ」感が当たった。不思議に思った私は、トウモロコシに目を落とした。
何やら横に長い粒がある。普通のトウモロコシの粒を1とするなら、それは3粒ほどあった。そして色は白っぽい。しかも私の歯が当たったと思しきところは薄いオレンジ色をしている。
すっと血の気が引いた。
白っぽい粒の端に、黒い小さい粒がついてる。
つまりそれは、トウモロコシの実を食ってて、隙間にみっちり詰まった芋虫ちゃんの塩茹でだったわけだ。
すぐさま吐き出し、私の食べていた分は処分した。が、他のは食べた。芋虫はいないと信じて。