激痛病棟
(体験談)

ほみの激痛物語 第14話
○夏祭りと兄ちゃん

毎年7月の土日に我が地元の夏祭りがある。
夏祭りって言っても、盆踊りじゃなく
ホントに祭りなんだ。
毎年2日間で20万人程の人が見物に来る。
今年は、祭りの1週間前にテレビの情報番組で1時間の特集が組まれた。
初めから人出の多さは予測できた。

行きたくなかった。

次の日朝早く出かけないといけなかったから。
でも、子供が騒ぐので仕方なく折れて
お付き合いする事になった。
大通りは人でごった返していた。
お神輿も人に隠れてよく見えない状態。
出店も人波に押され、買う事もできない。
あたしの手には数日前に購入したデジカメがあった。
慣れない手つきでお神輿を撮っていく。
ついでに子供も…撮る。
そうやってお神輿を追いかけて
人を掻き分けて歩いていたところ…
反対方向からどわー〜っと人が押し寄せてきた。
買ったばかりのデジカメを手放すわけにはいかず
手でぎゅっとにぎりしめつつ、人波に子供が連れてかれないように目で追う。

そのとき……

どわー〜っときた人波の足があたしの足先を踏みつけた。
1人じゃなく何人も同時に。

「痛ってえじゃん!」←あたしの気分もお祭りモード?

爪の脇を踏みつけられたからちょっと(いや、かなり?)
痛いような気がした。
人波が少し去って歩きだすと…歩くたびに変な痛みを感じる。
それでも神輿を追いかけ写真を撮る。
「踏まれたから仕方ないか」
とビールを飲みつつ歩く。撮る。歩く。
一通り見てそろそろ帰ろうと
ママチャリに子供(体重25キロ)を乗せて家まで力いっぱいこいだ。
とんでもない事になっているとは知らずに
次の日のお出かけに気持ちは飛んでいたのかもしれない。
ウキウキ気分で家路を急いだ

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