激痛ヘルニア物語
第170話

砂嚢
(激痛度レベルB-)

手術直後、寝返りができないように体の左右には砂嚢(砂袋)が置かれています。
実際砂嚢が無くても、あまりの痛さに寝返りなど出来ないのですが置かれています。
あれだけ痛いと、寝返りどころでは無いんだけど、しょうがないのでしょう。
しかし

じゃまでした。

うっとおしかった。

どけて欲しかった。


と、言うのが正直な気持ちでした。
常に体に密着しているので、すごい圧迫感があるんです、あの砂嚢には。

この砂嚢が一時的に取り外される時が1日に一回だけあります。
それは、朝の検診の時です。
朝の検診の時、背中の傷の消毒をする為に砂嚢をどけて、体を横向きにするのです。

「はっし〜さん消毒するから体を横向きにしますね」
は、はい。
「せーーーの」
と、看護婦二人がかりで、はっし〜の体を横に向けようとするのですが
悲鳴を上げる程では無いのですが
痛いです。

やっぱり痛いです。

あたり前です、傷はまだふさがっていないんです。
背中の傷が歪むような感じがしてかなり痛い。
顔も歪むが、我慢をするしか無い。
しかし気分がいい
かなり気分がいいんです
1日中全く寝返りがうてない状況で常に上しか向いていられないんですが
この時だけは横を向く事が出来たんです。
消毒をする間での少しの時間だけだけど、気分が良かった。
でも、はずかしかった・・・

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