激痛ヘルニア物語
第150話

白と黄色のタオル
(清潔度レベルマイナスA)

最初は、気づかなかったんです。
もっと早く気づくべきでした・・・



朝起きると清拭を行う為のタオルを看護婦より渡されました。
白いタオルと黄色いタオルです。
最初、なんで色の違うものを渡されたのかが分からなかったんです。
なにも気にせず、黄色いタオルで顔を気持ちよく拭いていました。
タオルは温かく気持ちが良かったんです。
しかし・・・
「は、はっし〜さん、それ・・・・」

え!?

「下(しも)用ですよ」

え?!!!!!

突然告げられた、言葉。
頭の中で、こだまする。
「それ、下用ですよ」

「それ、下用ですよ」

「それ、下用ですよ」

「それ、下用ですよ」

「それ、下用ですよ」

「それ、下用ですよ」

「それ、下用ですよ」

実は、黄色いタオルは、下用のタオルだったんです。
看護婦からは、色の違いなんて教えて貰っていませんでした。
でも、自分でも気づくべきだったんです。
2種類のタオルを渡された時点で。

ん?、でも、まてよ・・・・
ちょっと考えました。
え〜〜と。
自分と同じで、勘違いして拭いている人は他にもいるのではないか?
こう考えると、結局どっちで拭いても、一緒じゃないか。
まぁ、気にしないことにしよう。
今度からは、黄色いタオルには気をつける事にしたのでした。

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