特別投稿 GPS No.7

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投稿者/G.P.S.     No.7     2007/05/12

レタス … 新鮮

この熾烈な苦しみはたった一枚の生レタスから始まった。
約10年前、中国の古都西安の観光を終えて、洛陽に向かう列車内で食べる昼食に、当時の中国では珍しかったホットドックが渡された。丸いパンにハンバーグと一枚の生レタスが挟まれていた。
洛陽への車中で、熱いウーロン茶と共においしく食べた。
洛陽へ午後に到着し、市内の見学を終えレストランで夕食をとった後、ホテルで宿泊した。
翌日は洛陽郊外を見学し、夕食のためレストランへ行った。昼食後からお腹の軽い異常を感じていたが、夕食の席についても、なぜか食欲がない。お腹が軽く張った感じで、美味しそうな料理を見ても、箸が伸びない。食中毒発症の前兆のような予感がするので、軽く食事を済ませて、4人一部屋の夜行寝台列車で北京に向かった。

夜半にお腹の異常を感じて目覚め、トイレに急いだ。強烈な下痢が始まった。数回トイレに通い、夜が明け始めたとき、途中駅に停車した列車がなかなか発車しなかった。中国語の案内が放送されたが、理解できなかった。
お腹の張りが強くなり、我慢できなくなってきたのでトイレに急いだ。トイレの前に駅員が立っていて、トイレを使用させてくれない。緊急事態であることを英語で説明したが、通じない、手帳に「下痢 緊急 要排便」と書いて示した。彼は理解したらしく、駅舎を指さして駅のトイレを使えと言っているようである。しかしそこに行っている間に列車が発車したら、置いてきぼりになる。

寝台に戻り横になる、お腹の圧力の第一波が押し寄せてきた、肛門括約筋を緊張させて、必死に堪える。液体を漏らさないように肛門を厳重に閉じるのはものすごく大変である。暫らくすると体が軽く震えて、お腹がグーと鳴って、圧力が低下した。
発車までどの位待たなければならないか分からない。最悪の事態に備えて、お尻とパンツの間にタオルを挿入し、念のためビニールの風呂敷を腰の下に敷いた。暫らくするとお腹の圧力の第二波が押し寄せてきた。第一波より強烈である、渾身の力を振り絞って耐えた。
脂汗が流れ出た。強烈な水圧で肛門を押し開けようとしているようである。体が小刻みに震える、再びお腹がグーと鳴って、圧力が低下した。直腸内の液体の一部が結腸内に戻ったようである。このまま無理の堪えていると次の波で、肛門を突破出来なかった腸の内容物が逆流して嘔吐になる危険が感じられた。

次の波は耐え切れそうにないので、最後の手段として、寝台のカーテンをきっちり閉めて、厚手のビニール袋内に放出する用意をした。(注記)放出する時の異様な音と臭いがカーテンの外に漏れるのが恥ずかしいので、ぎりぎりの瞬間まで堪えることにした。その時、警笛がなり列車ががたんと動き出した。この間の時間は20分位であったと思うが、一時間以上経過したように感じた。まさしくお腹のなかの液体の圧力との死闘であった。

トイレに急ぐ、あまり早く歩き、衝撃でお腹に力が入ると失敗する危険があり、遅いと他の人に占領される心配がある。無事ドアの前に辿り着いた、幸運にも空いていた。
我慢を重ねていた大量の滝のような下痢を無事に済ませると、ほっとして、体中の力が抜け、一瞬失神しそうになった。トイレの窓枠に掴ってやっと立ち上がった。
寝台に戻り、横になり休む、飲み物も控えているが、一時間おき位にお腹が苦しくなる。トイレに行き、しゅうっと水のようなものを噴出すると楽になった。

夜が明けて、朝食の時間となり食堂車に行く、添乗員にお腹を壊していることを告げて、おかゆの上澄み液(重湯)とウーロン茶だけで済ませた。脱水症に成りかけていたので、飲み物が美味しい。
北京に着き、北京観光が始まった。添乗員は常に私の体調に注意してくれた。公衆トイレが近づくと、私のほうを向くので、困った時に、目配せすると、臨時のトイレ休憩を短時間取ってくれた。
添乗員は食中毒の発生にとても神経を使っている。お腹を壊した客に対して責任を感じ、非常に親切にしてくれた。ホットドックに生レタスを入れないよう事前にリクエストしなかった添乗員の責任であると、詫びた。(当時の中国では、熱を加えない野菜を絶対に使用しないように事前に要求していたとのこと)しかし20人ほどのパーティで、酷くお腹を壊したのは私だけであった。2人の男性が時々私と一緒に臨時のトイレ休憩を利用していたので軽い下痢症を発症していたのであろう。

昼食もウーロン茶だけで済ませて、午後の観光に備えた。北京市内はトイレが多くあり、必要な時に使用できたが、公衆トイレのない郊外やサービススエリアの少ない高速道路で
あったらどんなに苦しんだことかと思い、慄然とした。
夕食は羊肉のしゃぶしゃぶであった。怖々半分ぐらいを食べて、ホテルに宿泊した。
夜中に度々お腹の不調で目覚めたが、朝方にようやく落ち着き、朝食のおかゆを口に出来た。

原因はたった一枚の生レタスである。中国料理はすべて熱を通す。野菜も熱を通す前提で処理されていたのであろう。レタスに病原菌がついていたのか、洗浄した水に問題があったか、解らないが、食中毒に弱い私ひとりが酷くやられてしまったのである。

(注記)
山歩きが好きな私の悩みは、日程の最後の頃に、水が合わないのか、不衛生なものを口にしてしまうためか、しばしば、激しい下痢に襲わることである。
山道には公衆トイレが少ないので、「Nature calls me.」と同僚に告げて、茂みに隠れて、雉撃ちをせざるを得ない。激しい水様性の下痢の時は、水柱の跳ね返りのしぶきが、お尻、ズボン、靴を甚だしく汚してしまうので、厚手のビニール袋内に放出する。B4版の書籍が入るくらいの不透明の袋に収納して、公衆トイレで中身を流す。
この袋を持ち歩くのは気の重いことであるが、お腹の中に今まであったものと思えば、あまり気にならない。これが必要となるような激しい下痢の時は嫌な臭いもほとんどない。
旅行の時は不測の事態に備えて、不透明の厚手のビニール袋を必ず持参する。

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