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ほみの激痛物語 第16話 ○……しときましょう(受傷後2日目) 朝になっても足で踏みしめるとズ〜ンとした痛みがある。 いつもなら、なるようになるさって気楽に構えているんだけど… 今日は何か胸騒ぎ、虫の知らせか… ムカムカ… ムカムカ… ムカムカって妊娠じゃないよなぁ… 「そうだ!病院行こ」 って頭の中で判断が下された。 月曜のせいか駐車場は目一杯。 とにかく待たなくては…待つ。 イライライライラ。 「そろそろ30分も待ってるぜ」 何かす〜っと血の気が引いて貧血みたいになるんだけど。 なぜか勝手に目が閉じて後ろに倒れそうだ。 やっと駐車場に入れて(かなり曲がって駐車) 受付で診察券を渡す。 目指すは… 「婦人科」 じゃあなくてぇ…(ついでにここ婦人科はナイ) 「整形外科」 「初めてでしたら問診表に記入をしておいて下さい」 おばさん看護師が言うので…見てみたら… それはでっかく「氏名」と「年齢」が… 普段年齢を忘れて生きているあたしにとっては それを見るだけでも倒れそうだ。 おとなしく待っていると 診察室からあたしを呼ぶ声がする。 恐る恐る診察室に入って症状を説明する。 看護師にレントゲンの指示を出し、あたしを連れていく。 足をズリズリ引きずりつつ薄暗いレントゲン室へ。 若い技師があたしの足を動かし、フィルムにセットする。 ……が……痛い足をくいっ、くいっと曲げる。 なかなかセットできないらしく何回もチャレンジする。 くいっ…痛っ… くいっつ……痛たたた… すいません。とあやまる技師。 何とか正面とサイドの2枚を撮影した。 整形外科の待合で待つように指示される。 再度名前を呼ばれ、先生がレントゲンとあたしの足を見比べ… 「コレかな?」 「痛い…」 「じゃ、コレは?」 「痛くない」 「それじゃここは?」 「ぎゃぁぁぁぁぁあ やめてくれ〜〜」 やっと手を離した先生。 またレントゲンとにらめっこ。そこで言った言葉が… 「じゃあ、親指の末節骨の骨折としときましょうか」 *末節骨…指の骨の先の方の骨を指す。 親指は基節骨と言う根元の方の骨と末節骨の2つで構成される。 「しときましょうとは何だろう」 足を踏まれて骨折したって驚きと合わさって何とも言えない気分。 先生は固定金具の準備をしていても、あたしは疑問で一杯だ。 そんな事はおかまいなしに先生は…… 実際の処置を、看護師さんにまかせ席を立ってしまった。 (チョットどこ行くんだ?放っておく気?) しかし、さんざん触られて痛さに疲れたあたしは 「どうにでもなれ」って気分で看護師さんに治療をまかせた。 「はい、いいですよ」と看護師さんが言うので見ると やはりかなりおおげさな処置をされているような気がする。 (これが、おおげさでない事に気づくには時間がかからなかった) 帰ろうと椅子から立ち上がり…サンダルを履こうと…思う…んだけど… 「入んな〜い」 まさかこんな事になるとは思わないから細身のサンダルで来ていた。 とりあえず、つま先に引っ掛けて動こうとするけど 1歩踏み出すと脱げる。同時によろける。 また踏み出す……ヨロヨロ…。 一歩踏み出すと…ズッキ〜んと激痛が襲う。 「処置前より痛いじゃん!」 精神的ショックと痛みと驚きで涙が出た。 「大丈夫ですか?」看護師さんが聞いてくるけど 大丈夫かって聞くくらいなら松葉杖でも貸してくれればいいのに〜〜 とりあえず、このまま3週間放っておくように(要は安静)言われた。 その間再診もしないらしい。 「いいのか?ホントに放っておいても」 何か納得できないけど、聞く勇気もなく家に戻った。 玄関に入った瞬間… 「これで暮らせるのかなぁ」 本音だった。 旦那はどうでも、子供はまだ夏休みじゃないし 洗濯…それよりご飯どうしょ? つらい日々の始まりだった。 【戻る】 【次へ】 |