特別投稿 GPS No.18

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投稿者/G.P.S.     No.18     2010/07/18

伊勢海老 … 新鮮

南四国の海岸に住むK君から「伊勢海老は禁漁期だが、塾生が禁漁期前に漁獲し、生簀で飼育しているので、珍しいのが手に入った。宅急便で送るから南国の珍味を楽しんでくれ」と電話があった。翌日、伊勢海老が元気のよいまま、3匹到着した。お礼の電話をすると、「前回の講師のお礼だ。あの時は酷くお腹を壊させて申し訳なかった。君の話が面白く、役に立ったと今でも塾生の間で話題になることがある。あの伊勢海老は受講者の一人が飼育しているもので、君に送ると言ったら格別の価格にしてくれた」とのことであった。
1匹を刺身に、2匹をグリル焼にして、当夜の食事で頂いた。グリル焼は家内と分け、刺身の2/3以上を私が平らげた。翌日はしばらくぶりで市から講演の講師を依頼されていた。講演の時、お腹を壊していると大変なので、伊勢海老の刺身は少し怖かったが生きている新鮮な海老を見ると諦め切れなかった。
心配した通り、夜中に腹痛で目覚め、トイレに急ぐと強烈な下痢が始まった。1時間おき位に、昨夜食べたものが噛み噛み砕かれたまま混じった水柱が激しくほとばしった。朝食の時刻に起きてきた家内は「お刺身を食べすぎたのでしょう。私は何ともありません」と言って美味しそうに朝食を食べ始めた。
私は絶食し、スポーツドリンクとリンゴジュースのみで我慢し、乳酸菌製剤を服用したが、下痢は止まらない。激しい水柱のほとばしりから、粘液が少し混じった水柱がシュット噴き出すように徐々に変化した。
伊勢海老の殻をむくのに難攻したので、包丁か俎板が殻に付いていた細菌に汚染され、刺身を作ったときに移ったと私は推定した。しかし、アサリの時のような確証はない。
腹痛が激しく、細菌性下痢症と判断して掛かり付け医院の開院を待ちかね、受診した。
3日前からの食事の内容及び腹痛と1時間おきの激しい下痢の状況を説明した。
体温は35.2度 血圧は96/68であった。医師は腹部を聴診し「酷い下痢症だ、低体温、 激しい下痢による血圧低下が著しい、検体を採れますか?」と言った。「今我慢しているので直ぐ採れます」と答えてトイレに直行し、黄土色の水柱をシュット噴き出させ、その一部を持参した。医師は検体の性状と臭いから腸炎ビブリオ菌中毒による重症の下痢症と診断した。
「腸炎ビブリオ菌の中で毒素を出すものが小腸で急速に増加して、粘膜を傷つけ、強烈な下痢を発症させます。普通の人は摂取した腸炎ビブリオ菌を酸性胃液が殆ど殺してしまうので大量の菌を摂取しない限り発症しません」(腸炎ビブリオの感染が成立するには約100万個以上の生きた菌の摂取が必要と言われている)
「あなたは胃液の酸性度が低いので少量の菌を摂取しても発症するのです。抗生剤はあまり有効でなく、有益な腸内菌を死滅させるので、使用しない方がよいと思います。止痢薬は菌の排泄を遅らせ、予後がよくないので止むを得ない時のみに使用します。ノロウイルス下痢症に比べて、検体は粘液が多く、独特の臭いがあります」と言って臭いを嗅がせてくれた。生臭い独特の臭いであった。「今回の下痢症は重症ですから、点滴を済ませ、帰宅して絶食し、経口補水イオン飲料 OS-1等で水分を補給し、休みなさい。明日も激しく下痢が続くようなら、来院して下さい」と指示された。「午後から2時間講演を依頼されているので、出掛けなければなりません」と答えると「それは無理です。不測の事態になり醜態をさらす危険があります。下痢は副交感神経による体の防衛反応であり、血管を拡張するのも副交感神経の働きです。激しい下痢と急激な血管の拡張が血圧を低下させるため、一過性に意識がなくなり、倒れる心配があります。脱水症が加わると意識障害はさらに重症になります」と言われたので、「不測の事態にはトイレ休憩で対応します。血圧低下には 十分注意します」と答えて、点滴を受けて帰宅した。
腹痛が激しく、1時間おき位に襲ってくる強烈なお腹の不調を我慢して講演をするのはもの凄い苦しみである。しかし講演会は公示され、協働の講師も指名されているので、今からキャンセルできない。止痢薬で下痢を一時的に止めると、予後がよくないことは度度経験している。会場への往復はタクシーでそれぞれ20分以下なのでお腹の不調を我慢できる、講演中の不測の事態は休憩を一度取れば切り抜けられると考えた。
昼近くなって、腹痛が大分軽減したが、昼食も絶食しOS-1の代わりにスポーツドリンクとリンゴジュースと無脂肪ヨーグルトで我慢し、乳酸菌製剤を大量に服用して、医師の勧告を無視し、出掛けることとした。
不測の事態に備えて自作パンツ【「カウンターの鮨」に作り方を紹介】を着用し、その上に膝の下まで届くセミロングパンツを穿いて出掛けた。タクシーで講演会場に行き、ゆっくり休んで、所用を済ませて、司会者に体調不良を伝えてから講演を始めたが、1時間位でお腹の不調を我慢できず、話の切れ目で休憩を取った。
お腹の不調を避けるため昼食後は水分を摂らなかったので、喉の渇きを我慢できなくなり、脱水の危険も感じたので、机の上に用意されたミネラル水を飲んだ。
講演を再開して50分位で強烈なお腹の不調を感じたが、話の終了直前のため再度の休憩はできなので、椅子に腰をおろして講演を続けた。講演の残り時間が僅かとなったので気が緩み、我慢していた喉の不快感を除くため、話をしながらミネラル水をコップ一杯飲んだ。
講演を終えて、質疑応答に移った。先ほど飲んだミネラル水の刺激のためか、お腹の中の液体の圧力が異常に高くなり、お腹に力を入れられず声が小さくなった。比較的少人数のため拡声器が用意されていなかった。後方から聞こえないとの注意が出た。
お腹に力を入れないようにして、大きな声を出して話を続けていたら喉に負担が掛かり、激しく咳き込んだ。この衝撃でお腹に力が加わり、必死に支えていた堤防が決壊した。瞬時に粘液混じりの液体が自作パンツを濡らして、お尻の下一面に広がった。粘液分の多い液体のため吸水層の吸収が遅く、お尻が気持ち悪い。質疑応答を10分くらい続けていると腸炎ビブリオ菌下痢症の特有の臭いを感じた。早く退場しないといけないと思い、司会者に視線を送った。
先ほどからの私の苦しそうなしぐさを見ていた司会者は「次の予定がありますので、まだご質問があると思いますが今回はこれで講演を終了します」と宣言した。急いで片づけて 控室に移動した。喉の不快感が解消しないので、嗽をしてミネラル水をコップ一杯飲んだ。
私の次に市の幹部職員の講演が予定されていたが、以前に聴講していたので体調不良を理由に失礼することにして、タクシーを呼んでもらった。
見送りに来た司会者が運転手に「お客様の体調が良くないので、気を付けてお送り下さい」と告げた。
運転手は私に「体調が良くない時は怪我をしやすいので、万一の時に備えてシートベルトを付けて下さい。車が揺れて気持ちが悪くなったらお使い下さい」と言ってポリ袋を渡してくれた。
順調なら家まで20分以下の距離であるが国道が渋滞しており30分近くたっても渋滞を抜け出せなかった。先ほどミネラル水を沢山飲んだためか、再び強烈なお腹の不調を感じ、肛門括約筋を締めて我慢した。コレラ?ノロウイルス下痢症と違い、ゲートを強力に締めていれば漏らさない自信があったので、家に着くまで我慢できると思った。
しかしお腹の中の液体の圧力が異常に高くなり、浸み出しそうになる液体を止めるために、ゲートを強力に締め付け続けるのはもの凄く大変である。腰をかがめて、締め付けに全力を注いでいると、体が小刻みに震え、顔面に脂汗が流れ出した。
運転手は私の異常に気付いて「苦しそうですね、コンビニかガソリンスタンドに寄って、トイレを借りましょうか」と声を掛けてくれた。先ほどのお漏らしで、お尻と自作パンツが汚れているのでトイレを借りて使うのは不可能であった。
あと数分で家に着くので「すごく気持ちが悪く、早く家に帰りたいのでトイレに寄らないでくれ」と答えて、我慢を続けた。
交差点で国道から県道に入ると渋滞が解消し、車はスピードを上げた。その直後に、前の車が急停車して、タクシーも急ブレーキをかけた。この衝撃でシートベルトが粘液混じりの液体が充満していたお腹を急激に強く締めつけ、必死で閉じ込めていた液体が一挙に噴き出した。自作パンツの吸水量を超えると予想される大量の生温かい液体がお尻と太腿の内側をびっしょり濡らした。自作パンツの吸水層に吸収できなかった粘液混じりの液体が自作パンツの裾から流れ出し、ロングパンツとズボンを濡らして、座席を汚すことを恐れた。体を動かさないようにして漏れ出しを防いだ。
間もなく我が家の前に着いた。料金は5000円近くであった。5000円札を渡して、「お釣りはいりません」と告げ、座席が汚れていないことを確認して下車した。
運転手は後ろを振り返り座席に汚れの無いことをチェックし、窓を開けて、走り去った。腸炎ビブリオ菌下痢症の特有の臭いが籠っていたのであろう。
車を降りて立ち上がると、防水力のある自作パンツの中に溜まっていた粘液混じりの液体が、自作パンツ裾から流れ出し、下着のセミロングパンツとふくらはぎを濡らした。玄関まで歩く振動で流れ出した液体がセミロングパンツとふくらはぎを伝わって靴下まで濡らした。
体を洗って、ベッドで休み、疲れからひと眠りして目覚めると、強烈なお腹の異常を感じ、トイレに急ぐと、濃い黄土色の滝のような水柱が激しくほとばしった。直後に目の前が突然暗くなり、頭から血がスーと引いて行くように感じ、意識が薄くなった。腰を下ろしたまま何も考えられず、数分たったようであった。家内が心配して外から声を掛けてくれたので意識が戻った。家内に手を取られてふらつきながら、立ち上がり、ベッドに戻った。その時家内は「手が氷のように冷たい」と驚いて、叫んだ。
夕食を取るか絶食するか迷った。今朝点滴の際に補給されたブドウ糖などの栄養源を使い尽くして、低血糖状態になって体温が低下し、激しい下痢を起こした副交感神経の働きで血管が拡張して放熱がおこり、さらに脱水のため血液の循環量が低下して、手が氷のように冷たくなったのであろうと推定した。
絶食を続けると、体力の低下が激しく、予想できない事態となりそうなので、防災用に備蓄している軟らかいレトルトおかゆに卵を加え半熟にしたものを食べて、リンゴジュースと乳酸菌製剤を大量に服用した。体が温まり、ベッドで夜中までぐっすり寝た。
トイレを探すが見つけられず、焦っている夢で目が覚めた。トイレに駆け込むと、おかゆの粒が噛み砕かれたまま混じった黄土色の水柱が強烈に噴き出した。夕食は消化できずに、超特急でお腹を通過して水柱を形成した。早朝まで同じことを数回繰り返した。
開院と同時に医院に駆け込んだ、医師は「昨日は出掛けましたか?下痢の直後に意識が薄くなったりしませんでしたか?」と真っ先に質問された。講演会場とタクシーでの不測の事態を除いて、正直に経過を説明すると、「よく頑張りましたね、年を考えたら、今回のようなことは2度としてはいけません。意識が薄くなったのが家で起こったので奥さんが気付いたが、外出先であったら誰にも気づかず重大な結果になる危険性がありました」と意見された。再び点滴を指示されて、「今日は家で休んで下さい、激しい下痢が続く間は絶食し、水分だけ補給して下さい。今夜か明朝にはかなり回復するでしょう。もし回復しなければ、腸炎ビブリオ菌以外の食中毒の危険が想定されますので、細菌の培養検査をしますから、必ず来院して下さい」と付け加えた。
この夜はかなりよく眠れて、朝早くに回復の兆候を示す現象が現れ、安心した。
激しい下痢の直後に意識が薄くなった経験は以前にもあったが、その時は間もなく意識を取り戻した。腰を下ろしたまま意識を完全に失ってしまうと誰にも気づかず重大な結果になる危険性がある。この惨事を防ぐため、異常を感じた時に、速やかに家人に連絡できるようにトイレとベッドにワイヤレスセキュリティシステムの送信機を設置し、居間に設置した受信機で警報を受信して、大音響で異常を知らせるシステムを導入することにした。
G.P.S.(Dr GERI)

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