投稿レポート1647
投稿No.1647  投稿者/イツキ  2012/04/10

灰色がかった卵焼き

初投稿させて頂きます。
イツキと申します。

これは数年前、私が伯母の家に下宿していた時の話でございます。
伯母の家はとても古く、ゴキ様をはじめ、油断するとムカデやネズミが出現するほどの家でございました。
お手洗いはボットンでしたし、お風呂場は家の外で、薪で沸かすお風呂……まるでタイムスリップ状態です。

食事の何割かは、家庭菜園の野菜で作られ、虫が潜んでいることなど日常茶飯事です。
(もし機会があれば投稿させて下さい)

ある日、私は朝食を作ろうと冷蔵庫を開け、中から使えそうなものを探しておりました。
ハム、昨日の煮物、インスタントスープを発見。
そして卵と牛乳(開封済み)がありましたので、卵焼きを作る事にしました。

卵をかき混ぜて、砂糖少々と塩少々、最後に牛乳を入れてフライパンで焼きます。
出来上がった卵焼きを見て、私は首をかしげました。
「?……色、変だな……」

普段見慣れたペールイエローの柔らかな色合いではなく、どこか灰色がかった黄色。
「まぁ……いいか。」
ひとまず牛乳をコップに注ぎ、朝食をとることにしました。

ケチャップを掛けた卵焼きを一口食べました。
『……苦い?!何でだ?!卵は新しいみたいなのに……!』
とうとう味覚がやられたのかと思いながら、牛乳を飲みました。
『うえぇぇぇ!苦い!!原因はこれか!!』

残そうと思いましたが、運悪くこの家の絶対君主たる伯母が現われました。
『うぎゃあぁぁぁ!!残せないじゃないかよおぉぉぉ!!』

残したら、立ったまま1時間は説教食らいます。
伯母が作った食事をほめないと説教食らいます。
伯母が作った食事を少しでも残すと説教食らいます。
勉強忙しくて部屋から出なくても説教食らいます。
気に食わないことをすれば説教食らいます。
とにかく伯母に説教されまくっていた私は、伯母が怖くて残さず食べました。

色は普通(若干灰色い?)の苦い牛乳を流し込み、苦い卵焼きを飲み込み……
白いご飯とお漬物がこんなに美味しいと思った事は初めてでした。

何とか完食。
ガクブルのまま洗い物をして、伯母がどこかに行ったことを見届けました。
私は速攻で冷蔵庫の中の牛乳を確認。
賞味期限は……1か月前でした。

牛乳、流しへダバーッ!

『どどどどどどうしよう……』
このままあたって死ぬと思いましたが、何も起きず、私は今も元気です。
あの時の灰色がかった卵焼きは、今も網膜に焼き付いております……

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