初投稿させて頂きます。
イツキと申します。
これは数年前、私が伯母の家に下宿していた時の話でございます。
伯母の家はとても古く、ゴキ様をはじめ、油断するとムカデやネズミが出現するほどの家でございました。
お手洗いはボットンでしたし、お風呂場は家の外で、薪で沸かすお風呂……まるでタイムスリップ状態です。
食事の何割かは、家庭菜園の野菜で作られ、虫が潜んでいることなど日常茶飯事です。
(もし機会があれば投稿させて下さい)
ある日、私は朝食を作ろうと冷蔵庫を開け、中から使えそうなものを探しておりました。
ハム、昨日の煮物、インスタントスープを発見。
そして卵と牛乳(開封済み)がありましたので、卵焼きを作る事にしました。
卵をかき混ぜて、砂糖少々と塩少々、最後に牛乳を入れてフライパンで焼きます。
出来上がった卵焼きを見て、私は首をかしげました。
「?……色、変だな……」
普段見慣れたペールイエローの柔らかな色合いではなく、どこか灰色がかった黄色。
「まぁ……いいか。」
ひとまず牛乳をコップに注ぎ、朝食をとることにしました。
ケチャップを掛けた卵焼きを一口食べました。
『……苦い?!何でだ?!卵は新しいみたいなのに……!』
とうとう味覚がやられたのかと思いながら、牛乳を飲みました。
『うえぇぇぇ!苦い!!原因はこれか!!』
残そうと思いましたが、運悪くこの家の絶対君主たる伯母が現われました。
『うぎゃあぁぁぁ!!残せないじゃないかよおぉぉぉ!!』
残したら、立ったまま1時間は説教食らいます。
伯母が作った食事をほめないと説教食らいます。
伯母が作った食事を少しでも残すと説教食らいます。
勉強忙しくて部屋から出なくても説教食らいます。
気に食わないことをすれば説教食らいます。
とにかく伯母に説教されまくっていた私は、伯母が怖くて残さず食べました。
色は普通(若干灰色い?)の苦い牛乳を流し込み、苦い卵焼きを飲み込み……
白いご飯とお漬物がこんなに美味しいと思った事は初めてでした。
何とか完食。
ガクブルのまま洗い物をして、伯母がどこかに行ったことを見届けました。
私は速攻で冷蔵庫の中の牛乳を確認。
賞味期限は……1か月前でした。
牛乳、流しへダバーッ!
『どどどどどどうしよう……』
このままあたって死ぬと思いましたが、何も起きず、私は今も元気です。
あの時の灰色がかった卵焼きは、今も網膜に焼き付いております……