投稿レポート1535
投稿No.1535  投稿者/ミヨシ  2010/10/31

『ひよこ』を食べながら…

我が家はワクチン卵というものを扱うちょっと特殊な自営業をやっている。ちなみに、盆だろうと休みが無い鬼畜な職業である。
中三の夏休み、私は特にやる事も無かったので家の仕事を手伝うことにした。ほぼ手伝わされる形ではあったが、給料をくれるというので承諾。
私は時給700円以上を望んだのだが、その望みは一切受理されず時給500円で親にこき使われることになった。ただひたすら段ボール箱を組み立てて、父親の元へ運ぶだけ…最高につまらない作業を私は金欲しさに毎日真面目に続けていた。


段ボール作りもだいぶ板に付いてきたお盆の頃。
従姉妹から貰った東京銘菓『ひよこ』を食しながら作業をしていた。東京銘菓『ひよこ』を食し、友達とメールしながら段ボールを組み立てる私。そんな私を見て、二日酔いで昼過ぎにようやっと起きてきた、気持ち悪さからかめっちゃ機嫌の悪い父親が激怒。


「てめぇー、段ボールにカス落とすんじゃねーよボケ!●●(うちの卵を検査するとある会社)に怒られるだろーが!!」
「うるせーよ!今手伝うのやめて困るのはアンタだろーが!!」


この日は普段勤めてる人がお墓参りで居ない上に、父親が前日の飲み会でハメを外してくれたお陰で人手が足りず、朝から忙しいせいでみんなイライラしていた。
そんな状態で文句を言われた私、ヒートアップ。私に核心を突かれた二日酔いの父もヒートアップ。


「誰に向かって口聞いとんじゃコラァ!!親から金タカりやがって!!」
「安給料だろうが!何もせずタカるガキじゃない事を逆に感謝しろや!」


更にヒートアップする親子喧嘩に、従業員であるTさんタジタジ。やんわり止めてくれようとするもう一人の従業員、Kさん。
そんなKさんに目もくれず、卵のすぐ近くで繰り広げられる攻防。
当時、頭に血がのぼるとよく物に当たっていた私の目に、我が家の商売の要である卵の入ったプラスチックのトレーが並ぶ作業台が止まった。
割ってくれと言わんばかりに並ぶ卵たち。胸の内に激しく渦巻く「割ってやりたい!」欲望。そんな出来心から、さっきTさんが箱詰めしようとしていた卵のトレーをありったけ床に落としてやった。ぱしゃんぱしゃんと卵の割れる音に、恍惚する私。


(はっはっは!してやったり!)


そう思いながらどや顔で父親を見ると、怒るでもなく何とも言えない表情で一点を見つめ、そこに立ち尽くしていた。
何事かと思い床を見ると、一面に割れた殻から沸いている黄身と白身……そして何故か赤い色と、それを発しているらしいなにやらキモい物体……。
当時視力がめちゃくちゃ落ちてきたのに、絶対にメガネをしないという訳の解らないポリシーを持つ私は、赤いそいつが何なのかを薄々感じつつ、激しい好奇心に駆られた私は床にしゃがんでティッシュでそいつの胴体らしき部分拾ってみる。グニュンとして柔らかい……。
黒い物体の浮く方をまじまじと見ると………ひよこちゃんだった。黒いものはひよこちゃんのつぶらな瞳だった。
ほぼ完成されているひよこが、うすーく目を開きながら(私にはそう見えた)こっちを見ている。
さっきまで東京銘菓『ひよこ』を食していた私は、死にたえたでき損ないのひよこちゃんたちを見て『ひよこ』をリバース。つられて父親も貰いリバース。
仕事場全体に広がる嫌な卵臭さと二人ぶんのゲロ臭。
その臭いにTさんまでもがリバース。


なんだか申し訳ないやらキモいやら、そしてショックで顔面を涙と鼻水とゲロまみれにしながら、携帯でお母さんに電話しSOS。仕事場はお母さんとKさんがしっかり片付けてくれた。
グロ系が苦手な私と父親は、お母さんとKさんにがっつり怒られ、その後二人で外へ出て泣いた。




その後解ったことなのだが、うちがワクチンに使う卵は発育鶏卵というものらしい。だからひよこちゃんたちがコンニチワしたらしい。
そんな情報を聞いたところで私の心が癒されるはずもなく、卵と東京銘菓『ひよこ』が大嫌いになった。
家でのバイト、もうぜったいにしない…(泣)

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