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| No.382 投稿者/maimai | 2003/05/01 |
灯油
| それは寒い冬のことでした。私は海上の人工島の工事現場で汗まみれで働いていました。そこは水道もなく飲料水は船で毎朝灯油用のポリタンクで運んでいました。また、ストーブ用の灯油も同じ形の容器で運搬していました。
ある日、力仕事を終え、へとへとで現場詰め所へ帰り、水を飲もうとコップに並々と注ぎ一気飲みしました。もちろん間違えないようにポリタンクのふたを取って匂いを嗅ぎましたが灯油の匂いはしませんでした。
あまりの、のどの渇きにゴク、ゴク、ゴクと一気に飲み干そうとしたその3口目に油の香りが鼻を通過するのを感じ、あわててやめようとしましたがもうその時には3口目がのどを通る瞬間でした。
そうです、灯油をコップ一杯一気に飲み干したのです。
疲れていたからか、飲む前には匂いは、まったく気付きませんでした。
すぐに私は水を1リットルほど飲み込み、指をのどに突っ込み強制的に吐き出しましたが、やはり残っていたようでその日の晩の大便は油の香りがし、便器の水には油膜がはっていました。腹痛、下痢などは起こしませんでした。
疲れや焦りが感覚を麻痺させていたのでしょう。考えられない間違いも時には平然と行われることに愕然とした体験でした。
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