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| No.1419 投稿者/千本松 | 2009/09/06 |
野草 前編 … 生えたて
| これは先日あったうちの学校祭の話です
学校祭、いい響きです
学校祭といったらそれはもう出店、出し物、色んな出会い、ハプニングの嵐、何かが起こる不思議なイベントです
案の定起きました
俺は天ぷら屋の出店のクラスでした
「火を使ってはいけない」
こんな学校のルールを一切無視でうちのクラスの出店、「THE 東村山」は販売スタートしました
タネは養殖所で二千円で釣りまくった岩魚三十五匹の切り身、野菜類、安い海老、イカ、うずらの卵などを各種一個140円というぼったくり値段でした(一個の相場三十円)
普通天ぷら一個百円越える店で買う人は少ない
ところが俺達には秘策があったのです
「ホントなら江波先生に殴られるけどたまにはあいつら使いましょうよ、いいっすよね委員長計画」
略して「H.E.N.T.A.I計画」が作動したのです
概要は、クラスの女子にコスプレをさせ圧倒的な男売り上げで黒字を勝ち取ろうというものです
江波先生とは生徒指導部長の事です
「涼宮ハルヒの憂鬱」という参考書を片手に男子のみの会議をし試行錯誤の末、考案されたコスプレは大きな反響を呼び凄まじい数の客を呼び寄せ、同時に生徒指導部長まで呼び寄せるというカオスな状況でした
凄まじいオタク率の故一眼レフでバシャバシャ写真を撮るバカタレ共が急増した為責任者の俺は余った段ボールに店内撮影禁止という立て札まで書く羽目になりました
そのフロアの客を総なめにした俺達「THE 東村山」はある深刻な問題に直面しました
「材料足んねー」
そう言ったのはうちの委員長小林君、確かにここまで客が集まるとは流石に想定外
材料に一万五千円
現時点での売り上げ9万円
二日ある学校祭分をわずか三時間足らずで完売寸前に
よほどうちのクラスの女が可愛かったのかアンケートの料が箱一杯に
アンケート内容は
1.値段はどうか
2.教室の雰囲気はどうか
3.来た理由
4.次はどんなのがいいか
5.客対応はどうか
6.メイド喫茶とこっちならどっちに行くか
六番目の解答のなんと100%がこちらに来るという解答
コスプレ内容としては普通に制服にエプロン、ナース、体操着にハチマキ、超改造したメイド服、掟破りのスクール水着、バニー服にローラースケート(途中客に水をぶっかけるというミスに接客に向かずと判断しローラースケートは断念)
これだけサービスしてるのだから当然と言えば当然なんだが学校祭来た半分はうちの店に来たといっても過言ではない
そして材料不足の話なのだが二日やる事を考えて購入した材料なのだが一日目の前半で無くなってしまいこれはヤバイだろと
とりあえず調理側を除く男子で緊急会議を開いた
「材料の件だが打開策の案がある人いるか?」
「今から材料購入は無理なのか?」
「前みたいに大量に購入するケースは前もって業者に話を通して安く仕入れられる時のみなのだよ」
「打つ手はないのか」
「野菜なら大内フーズで業務用のを購入すればレンコンは50キロ一万弱で購入できるとう話を以前聞いたが」
「誰に?」
「ばあちゃん」
「・・・・・・」
「信憑性が無いので却下」
「・・・・・・」
「あきらめて売り上げで買えるだけ買って売るのが現実的だと思うが、委員長としては」
「黙れ小林」
「・・・・・・」
「誰か農家の息子か漁協の息子はいねぇのか?」
「俺漁師の息子だ」
「マジか、単独漁師か?」
「いや漁協に雇ってもらってグループで釣ってる」
「親にこっそり市場に出す魚半分占めてもらって俺らが貰う計算だとどうなる?」
「計算上親父がクビになる」
「・・・」
「参ったねこりゃ」
「とにかくだ、このままだと俺達は売り上げは手に入れたけどこれからはお客さんみたいにただ楽しむだけの側になるか、売り上げ消えて天ぷら売りさばいて残ったのは疲労と少々の金額のボランティア集団になっちまうかどっちかだぜ」
「そんなのイヤだ、女も青春も捨てられない」
「二日目は客目線で楽しむなんてイヤだ」
「そーだそーだ」
「んじゃ男なら無茶してでも女も青春も勝ち取る、の方向で決まりだな」
「まて俺は委員長として悪い事するわけにはいかんのだ、責任とるのは俺だ」
「お前ホント黙れ」
「・・・・・・」
「俺革命的な案考えたわ」
「な、なんだ!?」
《野草 後編へつづく》
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