トンタコス通信
トンタコス通信




名探偵の掟
名探偵の掟というミステリ小説もどきを読んでいるんですが、こいつがかなり
ふざけてます。
いちおう、主役の名探偵と、引き立て役の警部の二人がメインになって、殺人
事件なんかを解決します。
でも、あくまで「いちおう」です。
まず、プロローグでは、引き立て役の警部がグチをこぼします。引き立て役は
真犯人を知っていても、絶対に指摘してはいけない。しかも、たまたま真犯人
を見つけてしまう事がないようにする為には、名探偵の推理を聞く前から、真
犯人を見つけておく必要があるのだ。
真犯人が分かっていながら、あえて、違う人間を容疑者として調査して、この
事件は手に負えないというセリフを言わされる苦痛。もう、やってられん!
このグチを読むだけで笑ってしまいます。
そして、本編が始まるんですが、本編に入っても登場人物たちが、物語の世界
から抜け出して、様々にグチを言い始めます。
グチの対象は、作家から、読者、2時間ドラマに及んでおり、かなり笑えます

時刻表もののアリバイ崩しでは、完璧なアリバイを持つ容疑者に対して、名探
偵は、あなたにはアリバイがあるんで犯人ではありませんと言い切ります。
容疑者は疑いが晴れて嬉しいんですが、このままでは折角自分が考え出したト
リックが誰にも認められないんで、弱ってしまいます。
そこで、アリバイを崩す方法があると自ら言ってしまいます。
でも、警部&名探偵は、そんなもんあるわけない、あるなら言ってみろ、と迫
ります。
そればかりは言うわけにはいかないので、また困る容疑者。
そこへ以外な展開が!!時刻表トリックをぶち壊しにする移動手段が運用開始
されたのだ。それを使えばトリックでもなんでもなく、移動可能になってしま
うのです。
かくして、作者の遅筆が原因で、容疑者のトリックは明かされないまま、犯人
が決まってしまうのでした。

この本が意図しているのは、ミステリを笑いものにしているのか、問題提起を
しているのか、それともミステリの書き方を遠まわしに指南しているのか、謎
な本です。
でも、そういう深いところでの意味は置いといて、普通に読んでいて面白いで
す。普段、本を読まない人でも楽しめると思います。









トンタコス通信060922号
トンタコス通信060924号
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