ドンタコス通信
ドンタコス通信


みなさまのご期待にお応えして、今日もやってきましたインチキ闘病編。
しかも、がらりと趣向を変えた第2部がスタートだ!


お断り
ドンタコス通信は通常、おおむねノンフィクションですが、インチキ闘病編・
第2部は、ほとんどフィクションです。

N村は慣れない病室で、寝付けない時間をぼんやりと過ごしていました。
最近流行りの入院無し手術で、手術後はそのまま帰って、後日通院というパタ
ーンになるかと思いきや、入院などという措置をとられてしまったのだ。
まあ当然ながら個室などと贅沢な空間は与えられるわけもなく、6人部屋で数
日暮らすこととなったのです。

同部屋の住人は既に寝入ってしまっており、まったくもって退屈なので、持ち
込んだノートPCで、心霊サイトの怪奇体験談を読んでいました。
体験談の中には、当然ながら病院ネタも出てくるので、ゾクゾクくるものがあ
ります。病室という普段とは違う場所にいることもあり、なんか出たらどうし
ようかと不安がよぎると余計に寝付けなくなってきます。
とはいえ、さすがに読み疲れて次第に意識は薄くなってきまたした。N村はノ
ートPCの電源を落として、思考回路も半分ほど落ちたところで、何やら違和
感を感じました。変な体験談を読んだのと、自宅じゃない場所というんで、感
覚器の調子が狂ったかなと思って、現実との調律をすべく軽く病室内を見回し
てみました。
廊下から入ってくる薄明かりに照らされて、自分の分を含めて6個のベッドが
見えます。それに、一番ドアに近いベッドに人影があります。
は?人影、なんでこんな時間に。相部屋の人がトイレに行くとか、トイレから
戻ってきたって雰囲気じゃないぞ。暗くて分からないけど、ベッドをジッと見
下ろしているように見えなくもない。
しかも、こいつはいつ入ってきたんだ。N村の頭は半分寝てたとはいえ、さす
がにドアが開いて人が入ってくれば気が付くだろ。こいつは、ひょっとして、
異界の住人か?
どう見てもお見舞いって様子じゃないし、何よりこんな時間にお見舞いに来る
わきゃない。いやいや、何らかの事情があって、こっそりと忍び込んだって可
能性も捨てきれない。
そういう意味だと、実はストーカーが紛れ込んだとも考えられる。
で、異界の住人だとすると、死神か天使か、はたまた生霊か、それ以外のN村
の知らない存在か。うーん、範囲が広すぎるな。
問題は、異界の住人だった場合に、どう対処すべきかって事だな。接触を試み
るべきか、それともこっそりと観察を続けるべきか。
例えば、彼か彼女か知らないが、死神や悪魔に近い存在だったとすると、声を
かけたが為にN村の寿命が縮まないって保証は全くない。
でもでも、でもさ、異界の住人だったとしたら、このチャンスを逃すと接触す
る機会は二度と訪れないかもしれないんだぞ。うおぉー、これは難問すぎる。

などとN村が寝た振りをしながら、薄目でこっそりと侵入者を観察していると、
ドアに一番近いベッドを離れて、その隣のベッドの横に移動しました。そのま
まベッドに寝ている人を見つめ続けています。
どうやら、誰が寝ているのか確認しているみたいだな。
ちょっと待て、待て、あんまり待ってらんないけど、とりあえず待て。
あいつは、どう見ても誰かを探しているっぽい。さっきまで何にも考えずに、
N村以外の誰かを探していると思い込んでいたが、誰を探しているか分からん
って事はN村を探しているって事もあるんじゃないのか。
ゲゲゲッ、あいつが、ストーカーだか死神だか何か分からんがヤバイ。
順番に進んでくると、3人目で折り返してきて、N村は5番目。あと3人。
さあ、どうする?って何を決めなきゃいいのかすら分からんぞ。そうかこれが、
本当にパニックになった時の状態か。なんて、感心している場合じゃなくって。
いかん!来た来た来やがったぞ、3人目をチェック中だ。

つづく・・・
というわけで、続きます。




この後、N村はいったいどんな行動をとるのか?
あまり緊迫してないけど、次号を待て。





ドンタコス通信060518号
ドンタコス通信060605号
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